受変電

受変電設備内部で進行する劣化兆候を事前発見し、突発的な事故防止に寄与します。

受変電

受変電設備は、さまざまな部品を高密度に実装した複合体のため、各機器の経年劣化の速さや状態が異なり突発的なトラブルが発生することがあります。

突発的なトラブルの原因は、絶縁材料・絶縁油・潤滑油・パッキン類等の経年劣化や機構部の摩耗・緩みなどがあります。また、これらの原因は堆積塵埃・腐食性ガス・熱・湿度・利用回数などにより異なった状況を示すことから、定期的な信頼性維持診断をお奨めします。

潤滑油劣化による遮断器一次断路部(PDS)の過熱焼損例

潤滑油劣化による遮断器一次断路部(PDS)の過熱焼損例

特高スイッチギヤ絶縁劣化診断

設備を停止することなく短時間で特高スイッチギヤの絶縁破壊の予兆をTEV※1センサで確認します。

  • ※1 TEV:Transient Earth Voltageの略(過渡接地電圧)
  • 設備停止が不要で、運用状態のまま診断できます。
  • 想定される部位から欠陥種(放電発生部)を推定できます。
  • 部分放電の発生有無により、メーカ点検によるガス分析や各種測定を提案します。
TEVセンサ

TEVセンサ

特高スイッチギヤ絶縁劣化診断イメージ

スイッチギヤ絶縁劣化診断

設備を停止することなく短時間で絶縁破壊の予兆をAE※1センサで確認します。

  • ※1 AE:Acoustic Emission の略(材料の変形・破壊に伴う、弾性エネルギー放出現象)
  • 設備停止が不要で、運用状態のまま診断できます。
  • 優れた信号解析技術により、ノイズと部分放電を高感度に判別します。
  • 部分放電発生有無と劣化進行の指標となる部分放電電荷量を推定できます。
スイッチギヤ絶縁劣化診断 システム構成
AEセンサ波形 ウェーブレット変換処理

部分放電測定

設備を停止することなく短時間で絶縁破壊の予兆をコロナ探知機で確認します。

  • 設備停止が不要で、運用状態のまま診断できます。
  • 充電部に近づくこと無く安全に測定可能です。
  • 部分放電発生箇所を特定できます。
部分放電測定

局部過熱測定

運用中だから判る異常な過熱箇所を検知し、重大事故を未然に防止します。

  • 設備の運転に支障なく、また充電部に近づくこと無く安全に測定可能です。
  • サーモグラフィにより視覚的に過熱部位を特定します。
  • 過熱部位の温度計測値から許容使用範囲内かどうかを判定・評価します。

可視画像

局部過熱測定 可視画像

熱画像

局部過熱測定 熱画像

※写真はCT故障の例

スイッチギヤ総合劣化診断

設備を停止することなく、複数の診断項目でスイッチギヤの劣化度を総合的に診断できます。

  • スイッチギヤの劣化度を把握することにより事故・故障を未然に防止できます。
  • 劣化診断評価表を用いて複数の診断・測定項目の組み合わせにより劣化度を数値的に評価します。
  • トレンドを取得しスイッチギヤの予防保全(メーカ点検・更新)を提案します。

スイッチギヤ絶縁劣化診断

スイッチギヤ絶縁劣化診断

汚損度測定

汚損度測定
汚損区分 汚損度(NaCl mg/cm2
清浄 0.01以下
軽汚損 0.01を超え0.03以下
中汚損 0.03を超え0.06以下
重汚損 0.06を超え0.12以下
超重汚損 0.12を超える

局部過熱測定

局部加熱測定

遮断器特性劣化診断

スイッチギヤの要である遮断器の劣化度合いを総合的に診断します。

  • 遮断器の動作特性等を把握し、事故・故障を未然に防止できます。
  • 劣化診断評価表を用いて複数の診断・測定項目の組み合わせにより劣化度を数値的に評価します。
  • トレンドを取得し機器の予防保全(メーカ点検・オーバーホール・更新)を提案します。

グリース劣化診断

グリース劣化診断

新品劣化品

遮断器特性劣化診断 開閉特性システム構成

投入特性

投入特性

汚損度測定

汚損度測定
汚損区分 汚損度(NaCl mg/cm2
清浄 0.01以下
軽汚損 0.01を超え0.03以下
中汚損 0.03を超え0.06以下
重汚損 0.06を超え0.12以下
超重汚損 0.12を超える

スイッチギヤ余寿命診断

絶縁物の劣化度合いと経年劣化からスイッチギヤの余寿命を診断します。

  • 多変量解析T法※2により、任意の温湿度条件での余寿命の推定が可能です。
  • 余寿命の推定値は、測定時の設置環境(温湿度)に影響されません。
  • 寿命時期を推定し、保全・更新計画を提案します。
  • ※2 多変量解析T法・・・多変量のデータを用いて近似式を作成し、応答変数Yに影響を及ぼすXsを求める手法です。

余寿命診断結果

スイッチギヤ余寿命診断イメージ1

汚損度

汚損度

色差

色差

光沢度

光沢度

油入変圧器 油中ガス分析

絶縁油に融解した溶存ガスの量および構成比から内部異常の発生有無や異常診断、更に絶縁紙の劣化診断を行うもので、もっとも広く活用されています。

油中ガス分析診断は1年に1回程度の実施をお奨めします
  • 絶縁油の採取は運転中に行い、設備停止は不要です。
  • H2・CH4・C2H6・C2H4・C2H2・CO・CO2およびTCG(可燃性ガス総量)の異常要因を示すガスを分析・検出し、要注意・異常レベルを判定します。

油入変圧器

油入変圧器

ガス発生原因と特徴ガス

この表は横スクロールできます。

ガス発生原因と特徴ガス
ガス発生原因 H2 CH4 C2H6 C2H4 C2H2 CO CO2
過熱 絶縁油 低温
中・高温
700℃以上
絶縁紙
放電 絶縁油 部分放電
アーク放電
絶縁紙
経年劣化 絶縁油 酸素多
酸素少
絶縁紙

重要度 ◎:大 ○:中 △:小 【電気共同研究会54巻第5号(その1)】

H2:水素、CH4:メタン、C2H6:エタン、C2H4:エチレン、C2H2:アセチレン、CO:一酸化炭素、CO2:二酸化炭素

油入変圧器 劣化度診断

油中ガス分析のオプションで機器経過年数とCO、CO2生成速度から、更新推奨レベル、寿命レベルを提案します。

  • 絶縁油のガス分析を実施し、検出されたCO、CO2量からCO、CO2生成速度を算出します。
  • 機器経過年と CO、CO2生成速度から劣化度診断図を作成し、機器の余寿命を推定します。
  • 診断結果により、正常レベル、更新推奨レベル、寿命レベルを判定します。
油入変圧器 劣化度診断 イメージ