イー・ビー・ソリューションズ株式会社

MENU

お知らせ

  1. TOP
  2. お知らせ
  3. 社長年頭のご挨拶

社長年頭のご挨拶

2024年1月吉日

イー・ビー・ソリューションズ株式会社

柳澤 時彦

president_yanagisawa

あけましておめでとうございます。EBSS社長の柳澤です。
新年の挨拶を申し上げます。


元日に発生した能登半島地震にて被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。ご本人だけでなく、ご家族、ご友人が今も困難に直面されている方もいらっしゃるかと思います。困難な時期ではございますが、どうか安全を最優先になさってください。一日でも早く平穏な日常に戻りますことを心よりお祈りしております。


最近プロジェクト管理について考える機会が何回かあったので、そこから思うところにつき年初の挨拶に代えてお話させていただきます。

リーダ役として、あるいはリーダ・サポートの役を担うPMO(Project Management Office)としてプロジェクトに携わっていくと、コンサルタントは成功と失敗、それぞれを経験することになります。

稀に常に成功を収めている人もいますが、一般的には比率バランスはともあれ、リーダ役は成功と失敗の両方を味わう、といってよいかと思います。

うまくいったケースであれば、成果物をモデリングし、テンプレート化して次の機会に活かしなさい、と上司や先輩にアドバイスされたことはありませんか。

逆に計画通りに進まなかった際にも、反省すべきところを分析して同じ過ちを繰り返さぬよう、方法論やプロジェクト管理方法、規定や体制等を再考しなさいといったフィードバックをいただいた、というケースもあるでしょう。

成功しても失敗しても、それを次のアクションに活かすという手法は、計画・実行・評価・改善の英語頭文字をとったPDCA的なセオリーに則した納得感のあるアプローチです。組織運営の上でも、個人ノウハウやプロジェクト単体の成果に対して、理論化や標準化を図り、組織としての知見に高めることは非常に必要です。

私自身もそうしたアドバイスや指摘を初めていただいた際には、確かにそうだよなと腑に落ちることが多く、以来、成功、失敗の反省とノウハウの体系化に取り組んできたり、指示を出したりしてきました。

しかし、結果として、成功を次の機会につながるショーケースに仕立て上げられなかったり、同じような失敗を別案件で繰り返してしまったり、うまいアクションがいつもとれてきたわけではないという苦い思いもあります。

なぜ過去の経験をいい感じに活かせなかったのだろうと、自身の失敗を少し振り返ってみます。

プロジェクトは生き物とよく言われますが、成功したケース、失敗したケース、それぞれ特殊性・独自性・個別性といった部分で1回限りの偶然性も高く、全く同じプロジェクトというのはありません。

客先の業種、導入範囲、チーミング、コスト、リードタイム、IT導入経験の多寡等が異なるのに、無理に法則性や理論をあてはめても無理がある、どんなケースでもその「1回性」を意識して対応する柔軟さやケースに則した学習や応用力もまた重要で無視できない・・・

そうした歴史学的な1回性への意識が強すぎて、結果として私は過去と同じような失敗を何回か犯してきたように思います。

プロジェクトリード役としての戦術の失敗、管理者としての戦略の失敗。

リード役としては、過去の成功経験から普遍的なものを抽出して、異なるプロジェクトにおいても同じアプローチを適用させようとしてみましたが、それは目の粗いザルで細かいものをさらい続けるようなやり方でもあり、結局、成功や失敗の本質がよりきめ細かいものであった場合、必ずしもいい結果にはなりませんでした。

プロジェクト管理方法を単純化して適用して、適切な判断や動きが取れていなかったと言い換えてもいいかもしれません。

一例ですが、仕事を進めていくうえで状況を正しく素早く客先や社内に報告、共有することは普遍的なルールですが、その方法がメールやチャットでの断片的なやり取りになってしまい、コミュニケーションとして成立していないケースもあったかもしれません。とりあえずメールをプロジェクト関係者全員に送付していたとしても、殆どが読み飛ばされていたりすることはままあるわけで、それを見越した動きがとれていたか、というと反省すべき点があります。

一方で、会社の管理者としては、成功であれ、失敗であれ、個々のプロジェクトで得た経験を組織でナレッジ、ノウハウとして共有する戦略は準備してしかるべきで、それは「1回性」「偶然性」の言葉でないがしろにしてはいけない範疇のものです。

ただそれがかけ声だけになっていないか。

ノウハウの体系化を進められる体制とコスト、時間の確保ができない、それを進められる要員は現場での現在進行プロジェクトにあてられている。そもそもIT要員が慢性的に不足していて、大規模プロジェクトも混成チームで進められるため、担当する範囲が狭く深くなりがちで、体系立てた管理の進め方を学ぶ機会が相対的に少なくなっている中、ノウハウの形式知化自体を進められる人も限られているといったIT会社は弊社も含めて少なくありません。

そこは現場ではなく会社が対策すべき基盤なのですが、その準備ができていないということを、「法則性だけではプロジェクトは語れない」 という結論にすりかえてはいけないと自戒を含めて考えます。

それぞれの立場での失敗を繰り返しながら、このままの流れでは、時間が経つにつれITプロジェクト品質は少しずつ低下していくことをぼんやりと懸念します。

この低下は、お客様の業務効率も含めたマイナス、しいては日本の競争力の問題にも関係を及ぼすものだからです。


■ ■ ■


昨年の新年挨拶でスイスのビジネススクールIMD(国際経営開発研究所:International Institute for Management Development)の国際競争力ランキングでの日本の順位低下について触れました。

23年度順位は、22年度からまた1つダウンして64か国中35位となっています。アジア14か国中でも11位とこれも1位低下しています。

上位に位置していたときから改善されていない構造的な問題である、「意思決定の遅さ」、「機会損失への感度」、に加えて、「貿易の状況」、「国家としての財政悪化」、「企業の資金調達力低下」、「他国と比してのデジタル化の遅れ」等が加わっての評価となっていますが、低落傾向に陥ってから進んだマイナス要素も構造化してしまっているというところでしょうか。

評価項目が非常に多い調査なので、短絡的な解釈で話すことは憚られます。けれどそこをあえてやじ馬目線で何故そうなってしまったのかを言わせていただくと、失敗プロジェクト同様に、官僚的な合理性や効率性に、未だ固執しすぎているが故の制度疲労があり、その不安定な基盤のうえに新しい課題が階層化して積もり続けている、その構造下でデジタル技術の活用などと謳っても表層的な対応となり、改めて成長カーブを描くのもしんどい。

さらに言えば、日本における官僚的な合理性や効率性とは、戦後の発展においては意味を持った半面、その戦争に至る過程や戦争自体においては機能しなかったものでもあります。今の国際情勢がより複雑化し、各国がそれぞれに知恵を絞ってその構図の中で自国の利益と発展を図っている中、日本だけがあまり変化の乏しい施策や仕組みに固執しているとも言えなくはありません。

ただ上記の私のやじ馬目線はイケていないコンサルタントがよくやる思考法そのものだったりします。

課題を挙げること、失敗の理由を挙げることは、プロジェクト管理においても比較的容易なのです。しかし課題を解くこと、失敗の真因を分析することはその何倍も難しいです。

問題解決力があると言われるコンサルタントでも、実際には過去の成功体験に固執して、プロジェクトの動かせない前提や依頼者の組織特性を考慮から外した改題解決策を提示し、相手をガッカリさせてしまうこと、そしてコンサル側はこの案が理解できないお客さん側が悪いと責任を転嫁してしまうことがあります。これもコンサルあるあるです。

こうしたケースはそのコンサルタントの持っている合理性や効率性自体の練度が足りないケースか、合理性を用いる方向性がずれているケースのいずれかであることが多いです。

そのプロジェクトで起きている問題を、1回限りの偶然性と過去から学ぶ法則性、それぞれの目線で見極めて、理解を深めていくと、目的の明確化、品質・コスト・納期を守りつつ要件を実現する考え方の共有、客先・組織を横断したチーム内コミュニケーションの活性化といったプロジェクト管理上のセオリー、合理性や効率性を追求する手法が活きてきます。

さらにコンサルタントが1名で問題解決を考えることで独りよがりにならぬように、お客様と連携してアイデアの実現性を高める、他のコンサルタントやパートナと連携することで手順を吟味しながら可用性を上げる、といった積み重ねをしていくと、最初に出した課題解決案は立体感を増して、成功の道筋をクリアにする方向に動き出します。

例を挙げれば、メールやチャットでの断片的なやりとり、TeamsやZOOM会議がコミュニケーションツールの主体になりつつあるなか、指示や報告、情報共有といった意志伝達の在り方を再構築することが肝要でしょう。

そういった道筋を1つずつクリアにしていく際に、生成AIのようなデジタルツールも活かされてくるのかと思います。


■ ■ ■


ITプロジェクトもDXの取り組みなどに関しては国が主導する大規模なものが普通にあり、リード役やPMOにとっては極めて難易度が高いケースが現実に出てきており、今後も増えていくことでしょう。

またその規模に限らず、通常のシステム導入プロジェクトにおいても、コンプライアンスやセキュリティ、デジタル技術基盤の活用、開発手法の発展、導入目的の高度化など、考えるべき要素は10年ほど前と比較しても増えてきており、かつての合理性や効率性を基にした成功事例にすがっていてはゴールまで辿りつきません。難易度は高まっています。

難しいプロジェクトは手に余りますので、サイズの多寡に関わらずすべて辞退します、というのも我々のような小規模なコンサル会社にとってリスクヘッジ上は1つの手ですが、そればかりだと立ち行かなくなくなります。

全部はできないならば、できる範囲を見極めてそこからやらせていただく、できる形を作るといったアプローチでリスクをテイクすることも必要になります。

そのために、都度の案件の「偶然性」「法則性」という異なる要素それぞれを昇華しながら、完結性のある取組をできればと思います。

その完結が次のポジティブなテーマのベースになるようなサイクルを回せたならば、お客様、パートナ、そして弊社のコンサルタントそれぞれにとって価値があるはずです。


まだまだ道半ばですが今年1年、そうしたマインドを持ちながら動いていければと思います。

お客様の皆様にはEBSSのサービス活用をご検討いただければ幸甚です。

本年もよろしくお願い致します。



関連するトピック





サービス・ソリューションに関するお問い合わせ



ページトップへ

EBSSトップページ| 個人情報保護方針| サイトのご利用条件| お問い合わせ

イー・ビー・ソリューションズ株式会社