グローバル・プロジェクトの実務ノウハウ
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グローバル・プロジェクトでの「アジャイル開発」のポイント
海外を目指すITエンジニアのための「グローバル・プロジェクト」の実務ノウハウ[最終回]
2019.4.17
前回は、マルチベンダーのグローバル・プロジェクトを成功させるポイントを取り上げました。今回は、グローバル・プロジェクトでの「アジャイル開発」のポイントを見ていきます。
国内でもマネジメントが難しい「アジャイル開発」
アジャイル開発はうまく進められれば、システムの早期リリースおよび段階的リリースが可能になるだけではなく、手戻りによるコスト増も回避できるのですが、実際にはなかなかマネジメントが難しい方式です。
日本国内でも難しいので、グローバル・プロジェクトではますます難しくなります。しかし私たちが関わっている大規模なグローバル・プロジェクト(トータルの予算が数十億円規模)では、参加しているメンバーの国籍はさまざまであるにもかかわらず、成功している事例があるので、そのノウハウを紹介しましょう。
まず、一般のアジャイル開発と同様に、以下の対応を取りました。
優秀なマネージャーの下に複数の少人数チームを編成
- 小回りが利くチームを構成
- 自身のタスクに責任を持つ、自立性の高いメンバーをアサイン
開発サイクルを優先したスケジュール設定
- アジャイル開発の1サイクル(仕様確認、開発、テスト、機能レビュー、更新&再レビュー)を3週間と定めた
- 3週間で対応できる機能範囲をレビュー対象としてプロジェクトを推進
- スケジュールを優先としたレビュー予定日の事前計画
進捗状況や課題のタイムリーな共有
- 毎朝30分の朝会での進捗実績、予定タスク、課題等の情報共有
→マネージャーによるタイムリーな作業フォローの実現
顔を合わせた確認ができないため、Webツールを活用
さらに、一般のアジャイル開発とは異なるグローバル・プロジェクトならではの対応を取りました。一般では、ユーザー、コンサルタント、開発者など関係者を1箇所に集め、日々発生するちょっとした調整や仕様確認がすぐに行えるようにしますが、グローバル・プロジェクトではそうはいきません。そこで以下の対応を取りました。
Webツールを利用した進捗管理や課題管理および言語の統一
- 進捗管理や課題管理にWebツールを利用
- 作業や課題の発生、担当者の変更、進捗の更新等があるたびに、自動的に関係者に通知を送信
→常に同じ情報を全関係者が共有 - 記述言語も統一
海外でのプロジェクトマネジメントでは、ツールの活用が好まれることは前述しましたが、アジャイル開発では、さらに有効な施策となります。