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知ってからスタートしたい、SaaS型クラウドERP導入アプローチ

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DXプロジェクトを成功に導く、IE(industrial engineering)の視点とは?

知ってからスタートしたい、SaaS型クラウドERP導入アプローチ


2021.11.2

イー・ビー・ソリューションズ株式会社 プリンシパル・ダイレクター  岡田 直樹


東芝対談

クラウドERPとは

「重くなった表計算」 ・・・「〇クラウドです」、

「クラウド♪、クラウド♪、クラウド○○」、

「クラウドならすぐです」「クラウドなら簡単です」・・・。



最近、テレビのCMでも、クラウドの言葉をよく耳にするようになりました。

御存じの方も多いと思いますが、クラウドとは、一般的には、自社でサーバー等のハードウェア設備を持たず、インターネットなどのネットワークを通じて利用するサービスの総称です。

会計や販売、生産など、企業の基幹システムであるERPにも、クラウド化の流れは進んでいます。

ところで、ERPのクラウド化には二種類あります。

従来のオンプレミス型ERPで、サーバー設備をインフラサービス(IaaS)のクラウド上に移したものと、ERPシステム機能自体がクラウドサービス(SaaS)として提供されるものがあります。

オンプレミスERPの導入企業では、前者のIaaS型クラウドに移行されたところも多くありますが、SaaS型ERPサービスの利用企業も増えてきています。

本コラムでは、クラウド利用のメリットをより多く享受できる、 SaaS型のクラウドERPサービスについて、ご紹介していきます。

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▲図1:オンプレミス型、IaaS型、SaaS型ERPクラウド

目次

  1. なぜクラウド?
    1. クラウド化進展の背景
    2. SaaS型クラウドERPのメリット
  2. クラウドERPの正しい理解
    1. クラウドなら、すぐに、簡単に導入できる?!
    2. ERPとしての導入の難しさ
    3. ERP機能強化・改善と外部システム連携
    4. クラウドERPに向かないケース
  3. おわりに

なぜクラウド?

クラウド化進展の背景

コロナ下のリモートワークの影響で、自宅やリモートオフィスから利用できる、クラウドシステムへの注目が急速に高まってきています。

サーバー設備自体が、自社のサーバールームではなく、クラウドベンダーにあり、インターネット経由でシステムを利用する形態のため、自社オフィスから接続することも、自宅やリモートオフィスから接続することにも、変わりがありません。そのため、リモートワークにも適した形態と言えます。

インターネットを経由することのセキュリティに関しては、暗号化・認証やアドレス固定・VPN等、クラウドベンダーが各種セキュリティ機能で対応しています。

そもそも、クラウド化が始まった背景には、

・企業システムの拡大により、ハードウェアやシステム運用保守にかかる費用が増大してきたこと

・各企業にとって、これら、本業以外のコストをできるだけ縮小したい、アウトソースして、より本業に重点を置きたいこと

があげられます。


SaaS型ERPのメリット

オンプレミスのERPを利用している企業にとって、ERPの定期的なパッチ適用や、ERPバージョンアップに関する負担は大きいものとなっています。

そのため、安定稼働に入ってから、ERPのバージョンアップを凍結している企業も多くあります。

インフラサービス(IaaS)型では、オンプレミスのERPをクラウド上に置いただけで、ハードウェア運用やBCP対応以外に、クラウドのメリットは享受しにくいですが、SaaS型では、IaaS型同様のハードウェアコストやBCP以外に、モジュールや機能の追加が柔軟に対応でき、企業の事業環境変化に対応しやすいメリットもあります。

パッチやバージョンアップ作業に関しても、クラウドベンダーが対応することで、導入企業の負担を軽減した上で、最新の機能を適用することができます。

また、オンプレミスERPではハードルが高かった、BIやWebEDIなど、 SaaS型クラウドERPには、最初から含まれているものもあります。

また、近年、脚光を浴びている、AIやIOTといったDXとの連携など、次世代基幹システムとしての機能追加が進められているものもあります。

こうしたことから、今後の10年程度を見据えた、次世代の企業情報システムの基盤として、SaaS型クラウドERPを検討されるケースが増えています。

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▲図2:拡大するSaaS ERPの業務範囲 (Oracle ERP cloud)


クラウドERPの正しい理解

クラウドなら、すぐに、簡単に導入できる?!

テレビコマーシャルの「クラウドならすぐです」「クラウドなら簡単です」のフレーズのとおり、クラウドだと本当に簡単で、すぐに導入できるものでしょうか?

答えは、クラウドシステムの対象となる業務次第と言えます。

「クラウド」だから簡単、「クラウド」だから難しい、訳ではありません。シンプルな例では、iCloud や OneDriveなどのファイル共有サービス。これもクラウドですが、確かに直ぐに、簡単に導入できます。

しかし、クラウドと言えど、SaaS型クラウドERPは、ERPなので、ERPとしての導入の難易度があります。簡単で、すぐにできる部分とは、サーバー設備の準備や、アプリケーションをインストールする、従来のインフラ担当者やDB管理者の作業部分のみになります。

これまで、企業システムのSaaSクラウド化は、CRMやマーケティングなどから始まり、ここ2~3年で、会計・販売・生産といった基幹系業務にも拡がりつつあります。CRMやマーケティングでの導入では、数カ月内に完了するケースも多く、そのことから、「クラウドなら早い」と、誤解されてとらえられたケースが多くありました。

オンプレミスの基幹系ERP導入では、1年半~2年程度かかることも珍しくありませんが、SaaS型クラウドERPはどうでしょう。

SaaS型クラウドERPでも、オンプレミスERPと同じ程度の時間をかけるようなアプローチをとってしまうと、導入のハードルは変わらず、低くありません。そのためSaaS型クラウドERP導入には、クラウド固有の事情もあり、オンプレミスERPとは、異なるアプローチが取られます。そのことで、期間や工数を削減します。

逆に、クラウド固有の導入アプローチが取れない場合、オンプレミスのERP導入と同じか、それ以上の導入期間・工数がかかる可能性もあります。


ERPとしての導入の難しさ

SaaS型クラウドERP導入に特有のアプローチとは何でしょうか。

オンプレミスのERP導入では、多くの企業で、「パッケージに業務を合わせる」といいながらも、実際には、パッケージに合わない自社固有プロセスを、アドオン(ERPの内外に追加開発)することで対応してきました。

このことは、業務要件への適合度を増して、業務ユーザーの期待に応えることにつながりますが、導入期間と工数にインパクトを与え、また、稼働後もERPバージョンアップの大きな障壁となります。

SaaS型クラウドERPでは、基本的には、帳票・BIを除いて、ERP内にアドオン開発はできません。このことが、オンプレミスERPとの決定的な相違点といえます。

パッケージの標準機能でできること以外に選択肢はなく、ERPと合わない既存業務は変えるか、ERPの外で対応いただくことになります。

業務要件を聞いて、ERPとのギャップ部分の対応を検討するのではなく、ERPのプロセスを理解して、いかにERPに合わせるか。誤解を恐れずにいうと、「既存業務をベースとした要件を聞かない」という推進アプローチになります。

こうした前提の下で、 SaaS型クラウドERPは、業務ユーザーに変化を強いることになる一方、インフラ関連及び、開発の工数と費用は縮小できます。

現行業務をパッケージに合わせられるか、業務ユーザーの理解と納得が得られるかが、オンプレミスERPよりも、決定的に重要となります。


ERP機能強化・改善と外部システム連携

SaaS型クラウドERPでは、バージョンアップによって、継続的に機能追加・改善がされます。アドオンがないことから、定期的なバージョンアップの障壁も大きくありません。

年に数回のバージョンアップや、定期的なパッチ投入もクラウドベンダーが対応します。機能強化の恩恵を迅速に、容易に、受けられることも、SaaS型クラウドERPのメリットといえます。

周辺システムとの連携には、豊富な外部システムとのインターフェイスも用意されています。クラウドシステムのため、オンプレミスを含む外部システムとのバッチ連携には、PaaSを経由する等、若干の制約の上で対応できます。リアルタイム連携には、WebサービスAPIが主流となっており、豊富なAPIが用意されています。

SaaS型クラウドERPでは、アドオンができない代わりに、手厚いBI機能やオフィス製品との連機機能などが抱合されています。

それでも、アドオン開発が必要となる場合、クラウドベンダーによっては、連携の相性のよいPaaSクラウドが用意されており、PaaS上の画面開発ツール等でカスタム画面やロジックを開発し、APIで連携させることになります。

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▲図3:SaaS型クラウドERPにおける外部連携の例(Oracle ERP cloud)


クラウドERPに向かないケース

開発が必要な場合、前述のとおり、小さい開発要件でも、PaaS併用の大がかりな開発になる可能性があります。

そのため、プロジェクトの途中で、業務要件とのギャップ解決手段として、アドオン開発を追加することは推奨できません。

プロジェクト開始前にシステム構成(ERP部分、事前想定の開発対象部分、外部システムとの連携)を明確にすることが重要です。

ERP標準機能で対応できない・譲れない部分の内容・ボリュームによっては、SaaS型クラウドERPのほうが、オンプレミスERPよりも、開発・連携が複雑になる可能性があります。


おわりに

いかがだったでしょうか?

Oracleを始めとした、オンプレミスERP導入サービスを生業としていたEBSSですが、SaaS型クラウドERPについても、昨今導入することが増えてきました。

ただそこには、オンプレミスERPとは異なる困難さがあり、ユーザ企業やSI企業にもこうした特異性を理解してSaaS型クラウドERPに取り組んで頂きたいと考えています。


今回のまとめ

  • 次世代の企業情報システムの基盤として、SaaS型クラウドERPを検討するケースが増えている
  • SaaS型クラウドERPには、オンプレミスERPとは異なる導入アプローチが必要
  • SaaS型クラウドERPの導入アプローチとは、「既存業務に基づいた要件をきかない」 ?!
  • プロジェクト開始前にシステム構成(ERP部分、事前想定の開発対象部分、外部システムとの連携)を明確にする

弊社では、Oracle ERP cloudを導入支援する、コンサルティングサービスをしております。

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