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国内初、両頭双胴船旅客フェリー向け「電気推進システム」の開発・納入

2006年02月17日

[イメージ] 国内初、両頭双胴船旅客フェリー向け「電気推進システム」の開発・納入

 当社は、船首及び船尾の両方向で操船可能な、「両頭船」用の新型「電気推進システム」を開発、このほど、西日本旅客鉄道株式会社(JR西日本)殿の「両頭型双胴船」旅客フェリー「みやじま丸」に納入しました。
 「両頭型双胴船」用の「電気推進システム」は、わが国初の快挙であります。

 本船は、スーパーエコシップ第1号船として建造され、世界文化遺産の「厳島神社」がある宮島と宮島口間(約2キロ)を往復運行する環境対応型の旅客フェリーで、特に、頻繁な往復運行の離着桟時の旋回が不要になる等の操船性向上をはかるため、360度回転自在な推進プロペラ及び操舵室を船首・船尾に配置した両頭型としたほか、安定性のよい双胴船型を採用しています。
 インバータ制御の電気推進システムを採用した両頭(船首及び船尾の両方向で操船可能)の双胴船は国内初となります。

 電気推進システムは、推進・発電機器を自由に分散配置でき、船体構造の最適計画が可能となりますが、今回開発した「インバータによる可変速制御」は、従来の電気推進システムに比べ優れた操船性能と高効率な運転が可能で、「スムーズな離着桟」や「環境負荷の低減」「低振動・低騒音の実現」など、電気推進システムのメリットを最大限発揮できるよう計画されています。

 当社は電気推進船の普及に貢献していくとともに、地球環境に優しい商品開発に力を注いでまいります。

新システムの特長 他

 本システムは、主推進電動機を2巻線方式とし、インバータ2台で電動機1台を駆動します。小型外形化を図った電動機とインバータにより、設置スペースを縮小しました。インバータ可変速制御はセンサ付ベクトル制御を採用しています。
 操船システムは冗長性と信頼性を確保するため、従来船と同様の速度ハンドルと舵輪を使用する通常モードとジョイスティックで細かな操船を行う単独モードの2種類の運転モードを装備しています。さらに操舵室での通常操作ができなくなった場合でも推進電動機と推進プロペラをインバータ制御盤側においても操作ができるバックアップシステムとなっています。
 又、操船性と安全性をさらに向上させる為に、各運転モード、電気系統を含めた推進システムの状態および各種警報をカラーディスプレイで表示・監視し、音声でアナウンスするシステムを採用しています。

優れた操船性能と高効率な運転を確保

今回開発した、固定ピッチプロペラを使用したインバータによる可変速制御は、従来のインバータ制御の無い可変ピッチプロペラ(CPP)を使用した電気推進システムに比べ、精度の高い制御が可能で、優れた操船性能と高効率な運転が可能となります。
インバータによる可変速制御で、低速度域において、精度の高い制御が可能で安全な離着桟が可能となります。また360度回転自在な推進プロペラにより真横移動が可能で、頻繁な往復運行の離着桟時の旋回が不要になる等、操船性が向上します。

より高い安全航行の確保

インバータによる可変速制御で、プロペラの回転を自由自在に制御できるので、回転数の制御範囲に制約があるエンジンで直接プロペラを駆動する従来船に比べて、早く船を停止させることができます。海上で障害物を発見し危急停止する場合(クラッシュアスターン)等に大きな効果があります。
当社の船舶技術を基に、新たに電気推進船としてのシミュレーション技術により様々な条件下での推進変動時に於ける船内電気系統の安定性の確認、及び発電機関故障時に推進装置を停止させないよう安全面を考慮した機能を装備しています。

環境負荷の低減

高速エンジンを定速運転することにより窒素酸化物(NOx)約30~35%、二酸化炭素(CO2)約10~20%が低減できます。

乗客、乗員の居住性の向上

電気推進システムの採用により、小型高速エンジンを複数台設置することが出来、機器の小型化による最適配置、保守作業の簡素化、及び低振動・低騒音となり乗り心地が向上します。

本船搭載の電気推進システムの概要

電気推進システム

  • 発電方式 ディーゼル発電機320kWx3式
  • 制御方式 インバータ可変速制御2式(センサ付ベクトル制御)
  • 推進方式 旋回式電動ポッド推進器400kWx2基

スーパーエコシップの概要

環境にやさしい経済的な次世代内航船で、国交省が鉄道建設・運輸施設整備機構と協力し、2005年度から建造を促進している電気推進船の総称です。

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