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電気推進船の普及促進を支援する新型電気推進システムの開発

2006年12月09日

[イメージ] 電気推進船の普及促進を支援する新型電気推進システムの開発

 当社は、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)と共同で、船用電気推進システム"NEPUS"の新しいシステムとして「多重インバータ統合制御システム」を開発しました。
 本システムは電気推進用インバータ装置と補機駆動用インバータ装置を統合する事によりインバータのトータル容量を大幅に低減したものであり、環境に優しい電気推進船の普及促進に大きく貢献するものです。

  • (注) NEPUS:Nishishiba Electric Propulsion System

背景

 電気推進船は在来船(ディーゼルエンジン駆動による船舶)に比べて環境負荷、経済性、操船性、安全性、低振動性、低騒音性、省力化の面において優れていることがよく知られています。
 北欧では、環境保全のため、多数の小型電気推進船が就航していますが、国内においても、京都議定書による温室効果ガスの排出量削減目標達成の為に、陸上輸送から海上輸送へのモーダルシフトが重要と認識され、国土交通省及び運輸業界により次世代内航船スーパーエコシップの普及促進支援が図られています。

 普及促進支援により国内の内航船業界では電気推進船の建造が拡大しつつありますが、電気推進船は従来船に比べて駆動装置部分が複雑になるという課題がありました。
 今回開発した「多重インバータ統合制御システム」は、小型の補機(カーゴポンプ等)駆動用インバータ装置を複数台統合制御し、推進電動機駆動用インバータ装置として使用する方式で、従来の推進電動機駆動専用のインバータ装置を不要とし、電動機駆動用制御装置の省スペース化、信頼性・操船性の大幅向上を実現しました。当社では、電気推進システムと補機駆動システムの統合化を進める本システムを含め、今後も船舶のあらゆる機器の電動化を強く推進していきます。

新型電気推進システム 多重インバータ統合制御システムの特長

 内航船には、フェリー、ケミカルタンカー、オイルタンカー、貨物船等があり、それぞれの船舶には、ポンプ、ウインチ、コンプレッサ、ファン等の多くの補機類を装備しています。
例えば、ケミカルタンカーでは、荷役用タンクは複数に区切られており、各タンクにカーゴポンプを備えて荷役作業やタンクの洗浄(クリーニング)を行っています。カーゴポンプの運転は省エネ・高効率化のためインバータ制御による電動化が進んでいます。
 このような船舶に電気推進システムを採用する場合、従来であれば、カーゴポンプ用のインバータ装置に加え、電気推進装置専用のインバータ装置を設置していましたので、インバータ装置のトータル容量は大きくなっていました。

 今回開発した「多重インバータ統合制御システム」は、電気推進装置用のひとつのインバータ装置として、複数のカーゴポンプ用インバータ装置を統合制御し、新しく開発した本システムに対応した多巻推進電動機を使用するシステムで、設置スペースと費用の削減を実現しました。
 電気推進装置は船舶の航行中に使用され、カーゴポンプは主として港湾での停泊中に使われるものであるという特性を有効的に活用できます。船内のインバータ装置をカーゴポンプと電気推進装置で共有し、状況に応じて適切に切り換えることで電気推進装置専用のインバータ装置が不要となり、省スペース化と船価上昇を抑制できます。
 また、本システムは航行中でも、個々のインバータ装置を個別に切り離し、投入することが可能で、安定した減機運転(出力低減)機能と併せることで、航行中の保守点検のための切換えや補機への切換えが可能となり、さらに電気推進船のメリットを向上させています。
電気推進システムだけでなく、補機駆動システムも含めて、トータルで船内電気システムの最適化を図ることができます。
 NEDOとの共同研究では、多重インバータ統合制御と専用の推進電動機を開発し、電動機と複数の小容量インバータ装置を組み合わせた試験により、実用性、省エネルギー性を検証し、良好な結果を得ました。

 当社の電気推進システムは、今までに30隻以上の船舶に搭載実績があり、この分野における信頼性と優位性を築いておりますが、市場規模は、環境問題等から近い将来、急速に拡大するものと期待されますので、これに対応した新型システムをラインアップしたことにより、今後は、当社がイニシアチブをとった需要発掘を推進し、電気推進システム市場の尚一層の拡大をはかりたいと考えています。

以上

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