電力流通事業

電力系統技術と最新ICTの融合で
電力流通を支えます

工場・オフィス・家庭などで使われる電気は、発電所や太陽光・風力などで発電され、送電線・変電所などの電力流通設備を通して送り届けられています。
電力自由化、大規模自然災害発生時の停電対策強化など、電力流通を取り巻く環境はめまぐるしく変化を続けていますが、私たちは、培ってきた電力系統技術と最新のICTを駆使して、常に電力流通設備を監視制御・保護し、電力流通設備が電気を安全かつ確実に送り届けられるように支えています。

系統制御

系統制御は、需要家(工場・オフィス・家庭など)で使われる電気や再生可能エネルギーで発電される電気を正確に予測し、発電所で発電する電気や送電線・変電所を流れる電気をリアルタイムで監視制御することにより、電気の安定供給に貢献しています。
また、系統の状態を監視しながら、系統事故を想定して事前に制御内容を決めておき、事故発生時に高速な制御を行うことで大規模停電の防止に貢献し、平常時に系統の安定度を維持する制御を行うことで、電力設備の有効活用と再生可能エネルギーの導入拡大に貢献しています。

業務概要

予測・計画・解析・制御技術を備えた中央給電指令所システム

電気の使用量や発電量を予測して需要と供給のバランスを計画し、系統解析計算やリアルタイムの需給調整により、電気の安定供給と経済運用、適切な情報提供を実現するシステムを開発しています。

複数の拠点をつなぐ広域系統監視制御システム

電気事業者の運用拠点をネットワークで連係して、発電所から需要家までの電気の流れを一貫して監視制御することにより、効率的な運用と迅速な事故対応を実現するシステムを開発しています。

先端技術を駆使した系統安定化開発

時々刻々と変化する系統状況に対して、先端のAI技術を駆使し、発電機の出力を制御することにより、大規模停電を防止し、系統の安定運用を維持するシステムを開発しています。

CPSを実現する電力系統の大規模データベース

変化する実世界の発電所から需要家までの電力設備や電力設備の相互のつながりをサイバー空間に再現し、CPS (Cyber Physical Systems)による系統監視制御システムの価値創出を実現しています。

担当システム

  • 中央給電指令所システム
  • 給電集中監視制御システム
  • 配電自動化システム
  • 系統安定化システム
  • 訓練シミュレータ
イメージ:発電量と消費量のバランスを調整

変電所監視制御

変電所監視制御は、各発電所から需要家までの電力の供給過程において、電圧を昇降する変電所の設備から直接情報を取り込み、設備の監視や制御、送電している電力値の計測などを行うことで、安定した電力を供給するためのシステムです。
また、長距離送電や異周波数エリア間の電力融通に適した直流送電を行うための変換所にも適用されています。
これら変電所や変換所などの設備を24時間監視し、電力の安定供給に貢献しています。

業務概要

変電所監視制御システムの開発

交流系統の昇降圧を行っている変電所機器の運転状況、故障状況や電気量の状態をリアルタイムに取り込んで監視するとともに、変電所設備の点検やメンテナンスの際に機器の操作を行うシステムを開発しています。

直流送電監視制御システム(HVDC)の開発

緊急時の地域間電力融通を目的とした北海道と本州間の長距離送電や、50Hzと60Hz間の異周波数の連携に適した直流送電を行うための電力変換設備を監視制御するシステムを開発しています。

蓄電池監視制御システムの開発

蓄電池監視制御システムは、再生可能エネルギー発電の課題である発電量の変動に伴う供給量の不安定さを解消するために必要不可欠なシステムです。蓄電池の状態監視、発電量に応じて充放電制御するシステムを開発しています。

担当システム

  • 変電所監視制御システム
  • 直流送電監視制御システム
  • 蓄電池監視制御システム
  • 遠方監視制御装置
  • 集中監視制御装置
イメージ:変電所監視制御

系統保護

系統保護では、電力系統に落雷などの事故が発生したときに事故による影響を最小限にとどめるために事故を瞬時(数十ミリ秒)に検出し、事故区間の切り離しを行う指令を出力するシステムを開発しています。
電力の安定供給には欠かせないシステムであり、日本の低い停電率は、これらの系統保護システムが正しく機能することで実現できています。
国内外を問わず数多くの納入実績があり、電力の安定供給に貢献しています。

業務概要

系統保護システムの開発

系統保護システムは、発電機、送電線、変圧器などの電力設備ごとに設置され、各電力設備に流れる電気をリアルタイムで監視し、事故を検出した際には該当の区間を切り離す指令を出力して事故による影響を最小限にするためのシステムを開発しています。

事故波及防止システムの開発

系統事故などの発生で電力設備が切り離されることにより、電力の需要と供給のバランスが崩れ、影響が広範囲に及ぶ可能性があります。
その影響を最小限とするために、周波数の変動や異常電圧を検出するシステムを開発しています。

系統事故解析

系統事故が発生した際には、単純・多重など事故の判別、事故地点の判別、事故除去までの時間を解析します。
事故発生時に系統保護システムで保存した系統の電流・電圧データなどをもとに系統解析を行い、系統保護システムや設備の有効性を判断しています。

担当システム

  • 系統保護システム
    送電線保護
    母線保護
    変圧器保護 など
  • 事故波及防止システム
    周波数リレーシステム
    異常電圧検出リレーシステム など
イメージ:系統保護